絶対領域







居心地のいい倉庫から、物騒な倉庫へ。



東から西への道筋は、真夜中の支配下。


無法地帯の住人を侮ってはいけない。



足取りがやけに重いのは仕様もない。




闇色ヴェールを纏った空中。

うっすら届かせる、金属音。


かすれたタイヤの跡を、打ち消す靴底。



白い羽がひとつ、どこかへ舞っていった。






『今週末の真夜中0時に西側の1番倉庫で決闘するらしい』



バンちゃんの情報通り、西側の倉庫から騒音が反響している。


1番倉庫というと、一番端だろう。



乱暴に放ったままの大量のバイクを横切り、1番倉庫と呼ばれる場所に行ってみる。


全開のシャッターから、淡い明かりが漏れていた。



こっそり中を覗いてみれば、大当たり。

早くも乱戦状況になっていた。



見覚えのある顔がいくつもある。


何人かは鉄パイプや金属バットを振り回していた。ナイフや拳銃まである。



素手の勝負じゃないの?

これも紅組の差し金?




ここは双雷と神亀が花火をして、仲を深めた場所なのに。


どうしてこんな風に汚すの。


ねぇ、嫌だよ。



思い出も一緒に褪せてしまいそうで、怖い。