絶対領域




各々それなりに情報を集めてきてはいたが、どうにも核心にたどり着けない。


調査対象が下っ端のため、もっと容易く察知できていても不思議ではない。


しかしそうできないのは、バンちゃんが……悪魔が、あえて情報操作したり内容をすり替えたりしているからだ。




オムライスを完食しても。

日が沈んできても。


謎解きは難航して、一向に真相を手繰り寄せられなかった。




「慎士、悠也」


「何だ」

「なぁに?」


「悪いがパトロールがてら街に行って、情報収集してきてくれ」



ついに、あず兄が指示を出した。



「情報収集だけでいいのぉ?」


「ああ。さっきも言ったが、下っ端を見つけたって何もできねぇ。そもそも問い詰めてもどうせ口を割らねぇし」



あず兄に任された2人は、幹部室の扉を開けて出て行った。



もしパトロールの途中で、西側の倉庫に行っちゃったら……!


慌てて呼び留めようと立ち上がる。



「萌奈?」

「姉ちゃんどうしたの?」


ハッとする。


ダメだ。

あず兄とせーちゃんの前でそんなことしたら、バレる可能性がある。


せっかくバンちゃんが嘘までついてくれたのに、水の泡にしたくない。




それに……。


チラリと時計を見た。

遠くからバイクのエンジン音が轟く。



……しん兄とゆーちゃんを止める余地は、無い、か。