「あのなぁ、現状を何も把握できてねぇのに、探しに行ってどうすんだよ。下っ端たちを見つけて、そんで?」
「そ、それは……」
「何も言えねぇし、できねぇだろ?だからこうやって話し合ってんじゃねぇか。俺たちが、何をすべきかを」
何をすべきか。
その答えが、真相を掴むこと。
意見を言い合って、情報を集めて、謎をひも解いていく。
もっとも、全てを既に知っているバンちゃんは、私との約束を守って、真相を黙っていてくれているけれど。
「じゃ、じゃあ!こうしている間に取り返しのつかない事態になってたら、どうすんだよ!」
「そっ、それは……そうなんねぇように頑張んだよ!」
「また姉ちゃんに被害が及ぶかもしんねぇじゃん!」
「だからそうなんねぇようにするっつってんだろ!?」
うっ。
被害……出ないよう、善処します。
ドッドッ、と大きく上下に震え出した心臓を、ぎゅっと縮め込めて抑える。
そしたら代わりに、ぐううう、とお腹が鳴った。
タイミング!!!
お腹の虫さん!考えて!
……も、もしかしたら、言い合いのうるささにかき消されて……。
恐る恐る皆のほうをチラ見してみたら、全員の視線がこちらに集まっていた。
せーちゃんとあず兄も静まり、キョトンとしてる。
これは完全に聞かれてた。



