せーちゃんは疑問に駆られるがまま、焦った様子で奥の部屋へ進んでいく。
私もあとを追って、幹部室に立ち入った。
室内にはあず兄としん兄とバンちゃんとゆーちゃんが、長テーブルを囲う形でソファーに座っていた。
「おう萌奈、世奈。遅かったな」
「あずき兄さん!どうなってんだよ!」
軽く手を上げたあず兄に挨拶もなしに、声を荒げる。
4人はあくまで冷静だった。
「うっせぇな。いきなりでけぇ声出すなよな」
「下っ端のことだろ?」
「誰もいないなんて今までなかったし、びっくりするよね」
「僕たちも今、不思議だねぇって話してたんだよ~」
バンちゃんはともかく、あず兄としん兄とゆーちゃんももっと動じてると思っていたけど、そうでもないみたい。
さすが、神亀の上層部。
それとも、今年に入って散々ハプニングやトラブルに襲われて、耐性がついたとか?
「何のんきに……!」
「とりあえず、セナは落ち着きなよぉ」
「頭に血が上っていては、何も解決できないぞ」
ゆーちゃんはゆるく和やかに、しん兄は固く厳しく鎮める。
「でも、」
「どうせここでくつろぐ暇があったら、街に探しに行ったほうがいいっつーんだろ?」
一語一句言い当てられて、口を引き結ぶ。
あず兄は、耳上の髪を後ろに流すように片手で梳いた。
あ、総長の顔だ。



