絶対領域






あっという間に、街はずれにあるたまり場に到着した。


巨大な倉庫の脇にバイクを停止させ、バイクから降りる。



「はい、ヘルメット」


「ん。……なんか今日、バイク少なくね?」



自分のヘルメットも外しながら、違和感に眉をひそめる。



いつもならバイクが何台も停められているが、今日は片手で足りる数しかない。


おそらく、今夜の対決が起因しているのだろう。



「土曜日だし、皆遊びに行ってるんじゃない?」


「うーん、そうかな……」



やっぱり、こんな薄っぺらい嘘じゃ、鵜呑みにしてくれないか。


そりゃ疑うよね。

下っ端の言動を怪しんでるからなおさら。



理由を把握していても、打ち明けられない。


察していないフリをする。



せーちゃんも、いずれわかるよ。



考え込むせーちゃんの名前を呼べば、一拍遅れて返事がきた。


「早く中に入ろ」

「そ、そうだね!」


強引に一旦思考回路を鈍らせ、たまり場内に踏み入れる。



「あれ?下っ端が、いない……?」



入口から広がる殺風景なフリースペースにいるはずの下っ端の姿が、ひとつも見当たらない。


予想通り、なんだろうな。

神亀の下っ端皆で、双雷の下っ端を殺るために準備をしているから、ここにはいないんだ。



「なんで一人もいねぇんだ?絶対おかしい」



しまった。


また思考回路が働きだしてしまった。