絶対領域






ネジやガラスを片付けて、ついでに部屋を綺麗にした。


自分の身支度も同時進行で済ませ、せーちゃんと共に家を出た。





今日は土曜日のため、学校はない。

ブレザーの制服ではなく、私服でお出かけだ。



目指す先は、東。


せーちゃんのバイクに乗せてもらって、神亀のたまり場へ向かう。



休日はたまり場で過ごすことが多い。

居心地がいいし、皆といると楽しいし。



せーちゃんやあず兄のボディーガードは休日関係なくフル稼働していて、相変わらず外出は私にべったり。


特に今は、新人いびりや下っ端の異変の件もあり、警戒心が強まってピリピリしている。



私が今夜単独で抗争に乗り込むって教えたら、どうなっちゃうんだろう。


想像するだけで怖いな。


やっぱり事後報告のほうがいいな、うん。

お説教は厳しくなっちゃうと思うけど、それも覚悟の上だ。




「……頑張らなくちゃ」



ボソッと呟いて、せーちゃんの腰に回した腕に力をこめた。


私がハッピーエンドを持ってくる。

だから、待っててね。




瞼の裏では、棚の上にポツンと置かれた天使が嗤っていた。


天使以外いなくなってしまった場所で、たった独り、踊れないまま佇んでいる。



私自身もこうなるのだと、嘆いてるようで臆した。