「それと、もう一つ」


仁池は興味深そうにニヤリと笑う。



「紅組の企みについて、“悪魔”が嗅ぎまわっているという噂を耳にした」



思わず横を向けば、仁池の笑みが深くなる。


あくまで噂だとしても、これは完全に予想外だ。



「悪魔って……あの悪魔か?」


「イエス。理由はわからぬが、悪魔が敵である可能性も視野に入れておいたほうが良いだろうな」



萌奈と一緒に噂されている、凶悪で有名な悪魔がなぜ?



悪魔の正体は、確か、情報屋だった。


紅組の情報は価値が高い。

だから調べ回っているのか?



……目的がどうであれ、厄介以外の何ものでもない。


できれば嘘であってほしい。




「他には?」


「日にちまでは掴めなかったのだが、近いうちに我ら双雷の下っ端がどこかのグループと対決するという情報を入手した」


「それに紅組が一枚噛んでいるわけか……」


「うむ、そうなのだ。我らはまずは様子見すべきであろう」


「そうかもな。紅組の真意を知るいいチャンスだ」




その対決で、今までの紅組の不可解な行動を見極めてやる。


ただ、対決がやばくなったら、仲裁に入ろう。



双雷と神亀を、壊させはしない。

不必要な争いを増やすようなら、俺はどこへだって逃げるよ。



さよならの準備は、いつでもできてる。