おじさんと同じ髪色、髪型、ピアス、口調……。
相変わらず、容姿だけはおじさんに生き写しだ。
性格は違うけどな。
気だるげだが真面目なおじさんとは相反して、仁池は個性的な正直者。
「ずっと独りで待っておったのか?」
「……なんでもいいだろ」
萌奈と邂逅した。
なんてわざわざ言うことじゃない。
曖昧にはぐらかす俺を見透かして、おじさんとは違う濃い褐色の瞳が細められた。
「さっさと本題に入れ」
「それもそうであるな」
こんな夜更けに、シンとした場所をあえて指定したのは、仁池のほうだ。
新しく手に入れた情報を共有したいんだそうだ。
双雷の一員としてではなく、理解者であり協力者として。
つまり、紅組に関わることだろう。
「花火をした日、“あやつら”……紅組が動いたと申したであろう?」
ビンゴ。
やっぱり紅組のことだった。
俺と萌奈が再会した途端、紅組もまた再始動した。
偶然だと思い込んでいたいけど、そうじゃない気がしてならない。
「その企みが本格化してきたようなのだ。最近の下っ端らの異変が絡んでいるらしい」
「……そうか」
紅組が、双雷や神亀を狙うのは、俺と密接に関わっているからだとしたら……。
“あの時”みたく、手放す覚悟をしておいたほうがいいかもしれない。
逃げるのには慣れてる。
でも、ほんとは。
今度こそちゃんと近くで、守りたいんだ。



