絶対領域





しばらく逃げ回っていたら、知らないうちに不良たちを撒いていた。


しかし、学ランの男の子はそのことに気づいておらず、足を止める気配がない。



鬼ごっこはもうおしまいにしよう。


学ランの男の子、足速いし。

私、疲れちゃった。




スタート地点である路地に戻ってきた。


強引に男の子を止めようとしたが。



……殺気!?

背後からだ。



さっきの不良たちが追いついた?それとも、ここで数人待ち構えていたとか?


どっちでもいいか。

殺られる前に、殺れ!



男の子の手から自分の手を引き抜き、片足を高く上げながら振り返る。


その勢いのまま、殺気を放った背後の奴を狙って、蹴りを食らわした。



「手ごたえあ……」

り、と言い終えられなかった。



私の蹴りを、背後の奴が容易く手の甲で受け止めたからじゃない。



「……な、んで……」



受け止めたのが、“あなた”だったから。


なんで、“あなた”がここにいるの。