絶対領域





なんで、俺じゃなく、萌奈が。

なんで、傷ついてんだよ……!!




俺が脱走したから?


いや違う!敵がナイフを投げたからだ!


……でも、元はと言えば、俺が萌奈を巻き込んだから。




守るって決心したのに、俺の存在が萌奈を危険に追いやって、苦しめてる。


俺のせいで、萌奈が、傷ついてる。



嫌だ。

また、失いたくない。





隙だらけの絶好のチャンスに、敵は双眼をぎらつかせた。


ダダ洩れた殺意を直接感じる。



『……やめろ』


もどかしい思いはかすれ果てて、当然誰にも聞こえない。



幹部2人がナイフをかまえると同時に、俺は地面に刺さってるナイフを3つ手にした。


ほとんど無意識だった。



2つのナイフが一斉に投じられ、風を切りながらこちらに襲いかかる。


幹部本人も着々と近寄ってきている。



『やめろ』



禍々しくボヤき、手にしたナイフのうちの2つを勢いよく放った。


カシャンッ!

甲高い音が、2回続けて響く。



『なっ……!?』


『嘘、だろ……っ』



幹部2人は目を丸くして、立ち止まった。


ちょうど目の前で、俺の投げたナイフが敵のソレにぶつかり、攻撃を殺してしまったからだ。



やめろ。

やめろ!


狙うなら、俺にしてくれよ。


萌奈を傷つけるな。



これ以上、萌奈を痛めつける気なら、容赦しない。