絶対領域





……しょうがない。



「久しぶりに、力づくで止めようか」



不良たちを睨みながら、両手首を軽く回す。


直前まで気配を勘づかれないように近づこうとした、矢先。



「!」


学ランの男の子と、視線が交わった。



……え?

今、あの男の子。


笑った……?




静止した私と相対して、学ランの男の子は不良たちの間を縫うように進みだした。


不良たちの意表を突きながら、すばしっこく、私のほうに近寄ってくる。



「逃げるよ」


「はい?」



ついに目の前までやってきたと思ったら。

大胆不敵な笑みを浮かべて、私の手を取った。



「え?えー!?」