絶対領域






翌朝、目が覚めると、萌奈は既に起きていた。


コンビニで買ってきたのか、インスタントコーヒーを2つ分淹れてる。




『あ、おはよう、オリ』


『はよ。何、これ』


『コーヒーだよ』


『それは見りゃわかる。なんでコーヒーを、ってこと』


『安かったから』




それだけかよ。

安価の物でも、他にあっただろうに。


腑に落ちないまま、用意してくれた俺の分を一口飲んだ。



『……ん、美味しい』



その一言で、萌奈が大げさなくらい嬉しがるから、こっちまで嬉しくなる。




『お前も飲めよ』


『う、うん……』


『どうした?』


『実はコーヒー苦手なんだよね』


『じゃあなんで買ったんだよ』


『だから安かったんだってば!』




安いからって、苦手な物買うか?


首を傾げれば、萌奈は俯きがちに口を尖らせた。



『……お、オリが好きかと思って……』



なるほどね。

それが本当の理由だったのか。


それならそうと、最初から言ってくれたらよかったのに。



『可愛い奴だな』


『バカにしてる?』


『してねぇよ』



ジト目で睨んでも、逆効果だ。


そういうとこも可愛いって思っちまうだろ?