絶対領域





私もいつか、オトナになれるのかな。

無知で未熟なコドモを、卒業できるのかな。




人影の少ない帰り道を、一人きりで歩いていく。


早く帰って、せーちゃんの宿題を見てあげくちゃ。



横断歩道に差し掛かる手前。

早足で公園を通り過ぎて、ピタリと静止した。



『……ん?』



今、横目に、何か映った?



子どもはもう家に帰って、誰もいなかったはずなのに。


奥のベンチのほうに人の姿があった気が……ハッ、まさか!ゆ、ゆ、ゆ、幽霊!?




サー、と血の気が引いていく。


本当に幽霊だったらどうしよう!



でも一度立ち止まってしまった上に、好奇心がド派手に騒ぎ立てている。



気になる。

めちゃくちゃ気になる……!



そろそろと一歩ずつ後退していき、公園の入り口まで引き戻る。


深呼吸をして覚悟を決めてから、恐る恐る視線だけをベンチのほうへ移した。



目にかかる、天パのボブの髪の毛の隙間。


覗いて見えたのは、すらっとした長い足。



……足?

足があるってことは、幽霊じゃなくて、人間だよね!?



すっかり恐怖心が失せた。


怯えていた態度が嘘みたいに、悠然と公園の奥を見据える。