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3年前。
あの頃の私の世界は、あまりにも狭かった。
暴力とか、苦痛とか、大嫌い。
不良がどうした、ヤクザがどうした。
そんな野蛮な世界とはかけ離れた、普通オブ普通な日常を過ごしていた。
噂すら滅多に耳にしない。
有名な暴走族のメンバーがイケメンだって、友達ははしゃいでいたけど、正直どうでもいい。
あ、イケメンは好きだよ?
でも、身近にいるし、足りてるかな。
あず兄やしん兄以上のイケメンだったら、興味あるようなないような……。
まあ、そうそういないだろうけど。
……なんてのんきに考えていたら、新学期早々、日直の仕事で下校時間が遅くなってしまった。
辺りは濃いオレンジ色に彩られていて、やや薄暗い。
4月。
先週、中学2年生に進級したばかり。
学校で新入生を見かける度、自分が大人びた感覚になった。
『そういえば、あず兄、早速新入生の女の子にきゃーきゃー騒がれてたっけ』
明るい茶色い短髪がよく似合う、誠実そうな先輩だとか言ってたな。
1年生から見たら、3年生は別世界の大人って感じだよね。わかる。
私もそうだから、あず兄の誕生日に大人が付けてそうな腕時計をあげた。逆に何をあげたらいいか、わからなかったんだ。
『あず兄やしん兄はともかく、フツーな私じゃ、後輩に敬われたりしないんだろうな』
自分で自分を自虐したくせに、ちょっとショック。



