絶対領域








◆ ◆ ◆




3年前。


あの頃の私の世界は、あまりにも狭かった。







暴力とか、苦痛とか、大嫌い。


不良がどうした、ヤクザがどうした。

そんな野蛮な世界とはかけ離れた、普通オブ普通な日常を過ごしていた。



噂すら滅多に耳にしない。


有名な暴走族のメンバーがイケメンだって、友達ははしゃいでいたけど、正直どうでもいい。


あ、イケメンは好きだよ?

でも、身近にいるし、足りてるかな。



あず兄やしん兄以上のイケメンだったら、興味あるようなないような……。


まあ、そうそういないだろうけど。





……なんてのんきに考えていたら、新学期早々、日直の仕事で下校時間が遅くなってしまった。


辺りは濃いオレンジ色に彩られていて、やや薄暗い。




4月。

先週、中学2年生に進級したばかり。


学校で新入生を見かける度、自分が大人びた感覚になった。



『そういえば、あず兄、早速新入生の女の子にきゃーきゃー騒がれてたっけ』



明るい茶色い短髪がよく似合う、誠実そうな先輩だとか言ってたな。


1年生から見たら、3年生は別世界の大人って感じだよね。わかる。



私もそうだから、あず兄の誕生日に大人が付けてそうな腕時計をあげた。逆に何をあげたらいいか、わからなかったんだ。



『あず兄やしん兄はともかく、フツーな私じゃ、後輩に敬われたりしないんだろうな』



自分で自分を自虐したくせに、ちょっとショック。