「だから、安心してよ」


「できないから、こうやって毎日俺とお前の弟が協力して、お前と登下校してるんだろ」



信用されてないな、私。

……過去の行いのせいなのは、重々承知ですけど。



だけどね、あず兄。


私のことで、あず兄がそんな顔しなくていいんだよ。




「でも、いいの?あず兄、今年受験でしょ?」


「俺のことなら心配すんな。勉強くらいテキトーにやればできる」


「そう言って、テストで赤点取ったら面白いのにね」



ニヒヒとからかったら、おでこを手の甲で小突かれた。



「あーあ。私もあず兄と同じ学年だったらよかったのに。そしたら、迎えなんてさせずに済むし」



少し先まで走って、くるりと体の向きを変える。


あず兄と向かい合い、力なく微笑んだ。



「それか、もういっこ留年して、せーちゃんと同じクラスになるか。どっちも楽しそう」


「これ以上留年すんな。将来が心配になる」



あず兄があっという間に私に追いついた。


影が、わずかに重なる。