絶対領域






「我は、緋織氏が己を苦しめてでも守りたいユーに、興味が湧いた」


「だから、朝の占いで1位だった今日、私を誘ったの?」



イエース、と語尾に音符マークでも付きそうなくらい、ご機嫌に頷かれた。


今までの話がなかなかに重かっただけに、今日誘った理由が可愛くて仕方ない。



「それまで興味なかったみたいな言い方だね」


「そんなことはないぞ?出会った時から、注目はしていた」



切れ長の眼が、ぎらつく。


その注目がどんな意味なのか、怖くて聞けない。

ここは前向きに受け取っておこう。




「……なあ、萌奈氏」


「なに?」


「ひとつ、伺ってもよいか?」



首を傾げれば、クリームソーダを完食してから尋ねてきた。



「ユーは緋織氏を、どんな人物だと思っておるのだ?」



素朴な疑問、なのに。

どうしても狼狽えて。


“あの時”の傷を抱えたまんまの心臓が、記憶を騒ぎ立てる。




「私にとっての、オリは……」



頼りない指先を、右と左、交わらせる。


どうしよう。

声まで細くなってきた。



「とても温かくて、優しいのに、」



ポツ、ポツ、と。

下手くそに紡いでいく。



ずっと誰にも打ち明けられずに、秘めてきた。


この想いは天高く積もりすぎて、うまく表せない。



けれど、ひとつまたひとつ、拙い言葉がこぼれてしまう。



「辛さを隠してしまう、ひどい人」