絶対領域





「オリとオウサマは、紅組に何かするつもりなの?」


「ノンノン、今ではもう我に復讐する気は1ミリも無いのだよ。我も緋織氏も、ただ魔の手から逃げ延びられたなら、それでいいのだ」



今のオウサマから、敵意や殺気は一切感じない。


クリアに伝染してくるのは、オリへの信頼。

仲間より相棒と呼ぶほうが、しっくりくる。




『きっと、我は、いとこの存在を知らぬほうが幸せだったのかもしれぬな』


ううん、違う。

それは違うよ、オウサマ。



話を聞いた今なら、はっきり否定できる。



だって、出会えたでしょ?


良き理解者であり、協力者であり……同志に。



だから、ねぇ、オウサマ。


邂逅を後悔しないで。

同志と巡り会えたことを、不幸にしないで。



世間の常識とはちょっとずれてるかもしれないけど、今のキテレツな日常も楽しいでしょう?




「……今頃になって、“あやつら”が企んでくるとは想定していなかったがな」



たとえ、その日常が泡沫になろうとも。

必死にもがいて、守りたい。



急に陰った独白を、私は拾うことができずに「え?」と聞き返した。



「え、あー……そ、それにだな!父の代わりに家族を守る我のように、緋織氏にも守りたい者がいるゆえ、紅組を襲撃するなどと愚かな真似はせんよ」



あからさまにごまかされた。

だけど、まあ、欺かれてやろう。