オウサマも、例外ではなかったんだろうな。
父親の言葉でも信じられなくて、信じたくなくて。
現実離れした現状に、抗っていたんだ。
それでもオウサマは、気づいてしまった。
表と裏、光と闇の境界線の前で立ち往生していても、何も変わらないということを。
「今にして思えば、平凡なサラリーマンがこのような容姿や口調でいるはずもなかろうに、よく父に騙されていたものだ。あの頃は我もまだピュアであったな!」
……確かに、そうかも。
オウサマみたいなサラリーマンがいたら、ちょっと……いや、かなりビビる。
レッドオレンジ色の長髪で、一人称が「我」な時点で、平凡じゃない。
「しかし、真実を受け入れてしまった以上、ピュアなままではいられぬ」
オウサマは、窓ガラスの向こう側を眺めた。
褪せることのない、刺々しい紅の日差しを、恨めしそうに睨んでいた。
「父を殺した紅組と、父を犠牲にしながらものうのうと生きているいとこが、どうしても許せなかった。母のように寛容に託すことも、稜のように記憶を失くすこともできなかった。憎くて、憎くて、たまらなかったのだ」
ふっ、と自嘲げに息を漏らす。
「半分八つ当たりのようなものであったがな。未熟だった我は、復讐という術の他、怨みの晴らし方をわからなかった」
「……それで、オリの属する双雷へ?」
「いいや、我が先に双雷に入団したのだ」
「え?そうなの?」
「うむ。我はとりあえず紅組の目を避けつつ情報収集をするため、知名度は低いが実力は非常に高い、双雷に入った。それが中学2年、真実を知ってすぐの頃である」



