絶対領域





後方にいるギャルたちの笑い声が、耳をつんざいて、脈を速める。


不思議と、うるさいとは思わなかった。



ままならなかった呼吸をなんとか繰り返す。

しばらく浅い呼吸のままだった。




「現在よりさらに幼かった稜には、到底耐えられないショッキングな光景であった。我ですら、容易に受け入れられなかった」



大切な人が、いなくなる。


悲しい、寂しい。

そんなシンプルな感情では収まりきらない。


ぐちゃぐちゃに絡まって、複雑になって、心が壊れそうになる。



だから、オウサマの弟は壊れる前に、自分を守ったんだ。


かけがえのない思い出と引き換えに。


そうやって守るしかなかったんだろう。




「唯一、母だけは事情を存じていたのか、紅の血に染まる父の生首を泣きながら抱いていた。『どうかこの人の分まで生きて』と、誰かにメッセージを伝えていたのを憶えておる」


「そ、それって……」


「イエス、緋織氏へのメッセージだ」



オウサマの母親は、すごいな。


愛する人を殺されたのに、オリに『生きて』と願えるなんて、私にはできそうにない。



とても優しくて、強い人。




「我が、父の死の真相やそのメッセージの意味を知ったのは、葬儀を終えて遺品整理を行っていた時であった」



あ、また。

品格ある微笑に、戻った。



本当にその裏は、醜く穢れているの?