絶対領域





「その協力者が、我が父であることは?」


「う、…………え?」



うん、と頷きかけて、音がしぼむ。



オウサマの父親が、オリの脱走に協力していた……?


知らない。

知らなかった。



今までで一番特大で、最大の、爆弾だった。




ぎこちなく頭を振ると、オウサマは「これはさすがに知らぬか」と一笑した。



「緋織氏は、初対面の時にすぐ気づいておったな」



初対面って……確か、高校進学の頃、だったよね?

今オウサマは高2で同い年だから……去年、か。



「どうしてオリは気づけたの?」


「我が亡き父に似ているからであろう。……否、似せているのだ」



左上に高く結われた、夕日の真ん中に浸したような鮮やかな長髪。


長い指で梳【ス】きながら、右に寄せた前髪を揺らしていた。



「この髪型も髪色も、口調も、父を真似ている。このピアスとヘアピンは模倣ではないが、父からのプレゼントのため身につけている」



ずっと、派手な容姿や独特な雰囲気を、オウサマらしさだと思い込んでいた。


だけど違ったんだね。

らしさ、なんて単純なものじゃなかった。



父親の面影を、自ら纏っていた。


家族愛を募らせながら。