絶対領域





即座に反論したら、オウサマの目が一瞬見開かれた。


けれど、すぐに、凛々しく細められていく。



「サンクス、萌奈氏。ユーには、そう見えているのだな。アイムハッピー。この上なく嬉しいぞ」



私だけじゃない。

皆も、きっとそうだよ。



「……だが、ユーの瞳には映らぬ我のハートは、綺麗でも美しくもない。我がリーダーのような純粋なハートを、我はとうに殺してしまったのだ」



オウサマの微笑は、崩れない。


それがなぜだかひどく寂しくて、何も言えなくなった。




愛憎は、表裏一体。

憎しみはすぐ近くに在る。


一度【ヒトタビ】堕ちてしまえば、引き戻せないの?





「オリは、何を」



聞かなきゃいけない気がした。


わざと聞かせてる、気がした。



「オウサマに何を、したの……?」



一体、何を。



沈黙を侍らせた、緊迫の見つめ合い。

先に逸らしたのは、意外にもオウサマだった。




「よくぞ聞いてくれた」


味わい深く、呟かれた。



先端がスプーン型になったストローで、ゆっくりクリームソーダをかき混ぜる。


再び正面を見つめ、いたずらに口角を上げる。



「ユーを知るには、ユーが特に心を許している緋織氏のトークをするのが一番だと思ったのだが、どうやら正しかったようだ」


「話の流れ的に、私を知るというより、オウサマを知ることにならない?」


「それでいいのだ。ユーが我を知るということは、我もユーを知るということなのだから」