絶対領域





「やば~」

「まじうまっ」

「写真撮ろう~!うぇ~い、女子会~」

「これめっちゃ盛れてね?」



楽しい談笑が聞こえてくる。


後ろの席では、ギャルたちが、種類の違うパンケーキをシェアして食べていた。



あんな風に、あなたの苦痛も分け合いっこできたら、よかったのにね。




たらればの空想から脱出したくて、コーヒーを飲みながらオウサマを一瞥した。



「オウサマはほんとによくオリのことわかってるんだね」



さすが。

理解者と自負していただけある。



「緋織氏ともこのようにトーキングしたからな」


「その時も、相手を知るために話そうと思ったの?」


「うむ。トーキングする前は、1ミリたりとも理解できぬ……いや、理解したくもない憎き相手であったゆえ」



はっはっはっ!

と、胸を反らして、高らかに笑ってる。



……待って待って待って。


オウサマの悪い癖がまた出たよ。発砲されちゃったよ。爆弾ドカーンだよ。



笑いごとじゃなくない?

どちらかというとシリアスなムードになるやつじゃないの?


まだ笑ってるし……。


オウサマ、今どんな心境なの?



え?私?

私はもちろん困ってる。