核心を突いてくるなぁ。
オウサマってエスパーなの?
「苦痛を避けてるだけとは、キャントシンク、考えにくい」
「……私が傷ついたら、皆も傷つくから」
この世界に居る以上、傷つくのなんか当たり前。
“あの時”は、どんな傷もちっとも痛くなかったのに。
……そのはずなのに。
『ごめん。もう、お別れだ』
傷ついたら離れていくのなら、傷つきたくない。
傷ついてほしくない。
いつしかトラウマみたいなものになっていた。
「あやつとは大違いであるな」
「あやつ?」
「緋織氏のことだ。あやつは大切な者を守るためなら、己が苦しむのも厭わぬ」
本当にそう。
だからオリはずるいんだ。
こっちは気づいてるんだよ。
苦しがってること。
それでも堪えて、自ら拒んでしまうこと。
とっくに気づいてる。
“あの時”のさよならも、今私を始め他の皆とも親しくなりすぎないようにしてるのも、全部。
「好き」の裏返しでしょ?
あなたの優しさに気づく度に、切なくなる。
どうしてあなたばかりが苦しまなきゃいけないの?



