今もまだ、自分の正義は不明瞭で、どう言葉にしたらいいかわからないままだけれど。
俺のやりたいことは、はっきりしてる。
萌奈ちゃんを守る。
仲間を守る。
それが俺の正義だと、信じたい。
俺の全てを懸けて、秘密を忍ばせて、真実を捜すよ。
――ガラッ!!
いきなり保健室の扉が、乱暴にスライドされた。
「萌奈っ!」
「あ、あず兄!?」
ぜえぜえ呼吸しながら派手に登場してきたあずきは、こっちに近づいてきて、萌奈ちゃんの様子を確認する。
……こいつ、絶対走ってきただろ。全身汗だくだぞ。
さすが、萌奈ちゃん親衛隊。
「……平気か?」
「え、……あ、体調?うん、もうほとんど治って……」
「気づけなくて、ごめんな」
自分から聞いてきたくせに、遮るのかよ。
焦りすぎ。慌てすぎ。
熱があっただけでコレだもんなぁ。
昨日も、萌奈ちゃん(と世奈)がたまり場に来る時間がちょっと遅かっただけで、異常なくらい動揺して神亀全体を稼働させたし。
紅組に只今絶賛標的になり中、って教えたら、すごいことになりそう。あー、怖い怖い。
「萌奈のカバンと制服持ってきた。一緒に帰るぞ」
「……え?で、でも、まだ後夜祭が……」
「熱が出たんだ。早退に決まってんだろ」
「あ、あず兄も一緒に?なんで?」
「お前一人で帰らせられっか」
過保護のレベルも、上がってる気がするなぁ。
昨日のが最大値じゃなかったのか、そうかそうか。
……てかさ、あずき、俺の存在に気づいてる?



