「味方がいるって、伝えたかったんだ」
「え……?」
「俺が悪魔で、萌奈ちゃんの秘密を知ってるって教えたら、萌奈ちゃんは俺に頼りやすくなるだろ?」
俺も盾になるよ。
ひとりより、ふたりのほうがいい。
「いくらでも頼っていいよ。俺も、萌奈ちゃんを頼るから」
ズイッと近寄る。
萌奈ちゃんの顔を覗き込みながら、ニッと目尻にしわを寄せた。
「一緒に守ろう。天使と悪魔のタッグって、最強じゃん?」
ゆるゆると、目の前の表情が優しく咲いていく。
微熱を纏った微笑みが、いやに眩しかった。
「そうだね。悪魔が味方なら、心強いよ」
あ、よかった。
笑ってくれた。
やっぱり、萌奈ちゃんには笑顔が似合うね。
……本当は、知ってるよ。
その笑顔の裏で、苦しがってること。
全部、知ってる。
萌奈ちゃんには、特別守りたい人がいる。
誰よりも傷つけたくない人がいる。
それでもいい。
それで、いい。
代わりに俺が、俺たちが、萌奈ちゃんを守るから。
紅組に、萌奈ちゃんの笑顔を奪わせない。



