おそらく、萌奈ちゃんも同じように考えてる。
人一倍優しくて、繊細な子。
大切な人のためたら、身をなげうってでも助けてしまう。
だから、新人いびりに一人で立ち向かった時に天使としての強さを披露したけれど、自分が天使だとは明かさなかった。
君はなんて、強くて、弱いんだろう。
「反則でやり過ごした厄介な依頼で、天使の情報も運よくゲットできたけど、なかなか会えなくて……そんな時にあずきにスカウトされたんだ」
話を戻して、回想する。
あずきとの出会いも、神様のいたずらだったのかな。
「誘いを断ったはいいものの、あれだけ真剣なあずきを見ちゃうと、どうしても良心が痛んでさ」
当時、悪魔に依頼してくる連中のほとんどが、俺が悪魔だとわかると『なんだよ、ガキじゃねぇか』と嘲笑し出した。
けれど、あずきは、違う。
噂通り最低な野郎だったとしても、悪魔にすがりつくしかなかったんだ。
会えるのなら、本当に悪魔に魂を売ったってかまわなかったのだろう。
誰かを、何かを、寝る間も惜しんで追い求める。
その姿勢は、俺とそっくりで。
『俺には、悪魔の力が必要なんだ!……なあ、頼む。行方不明になった幼なじみを捜すのを手伝ってくれ。少しでも情報が欲しいんだ!』
熱量は違えど、会いたい人に会えない辛さは痛いくらいわかる。



