あの紅組サマから任せられたこともそうだが、依頼内容にも面食らった。
『ウチから脱走者が出た。そいつが今どこに隠れてやがるのか、特定しろ』
脱走者の件は、把握していた。
……でもさ、まだ14の小僧に、そんなこと頼む?
腕を信用してくれてるのは有難かったけどさ。
新手の嫌がらせ、もしくは騙されてるんだと警戒した。
『あんた、本当に紅組の人?』
冗談半分で尋ねたら、銃口を向けられた。
ヤクザって怖い。
すぐさま態度を変えて、依頼に応えた。
初心者時代を経て、成長した俺の手にかかれば、ちょちょいのちょいだ。
情報網が広がり、ハッキングも上達し、得られる情報量も増えた。
トップレベルの暴走族や極道相手でも、容易にかいくぐれる。
依頼された日に早速調べ始め、次の日には特定できた。
紅組に恐怖してた割には、案外、楽勝案件だったな。うん、懐かしい。
脱走者のプロフィールと写真はあらかじめ教えてもらっていたし、あとは確認するのみだったからかもしれないな。
目撃情報と噂の裏取り。
監視カメラにハッキング、脱走者らしき人物の絞り込み。
俺がやったのは、以上の作業だけだ。



