絶対領域







体育館に到着した。


既に人がたくさんいる。




強引に一番前の列に押し入った。

主にせーちゃんがすみません。


でも、どうせ見るなら、前のほうがいいよね。



「よかった、間に合ったみたいだね」


「ちょうど始まるみたいだ!」



一列になって腰掛け、隣のみーくんとワクワクしながら開演を待ちわびる。




時間になり、辺りが暗くなった。

ステージをライトが照らす。


閉ざされてた幕が、ゆっくりと上がっていった。



「イッツショータイム!」



上がり切った幕の向こう。

バンちゃんがセンターに立って、一礼する。


バンちゃんのクラスメイトと思しきステージ上の人たちが、かぶっていた黒のシルクハットを観客側に投げた。



それを合図に、アップテンポのミュージックが流れ始める。


華麗なショーの幕開けだ!




「バンちゃんかっこいい!」


「俺だって練習したらあれくらい……!」


「セナは不器用だから無理でしょ~」


「すげー!今の、どうやったんだろ!」


「ぼ、僕もわからなかった。ほ、ほんとにすごいね」


「……俺もマジックをしたら、総長が褒めてくれっかな……」


「ワンダフル!もはや文化祭のレベルを超えてるのではないか?」


「……そうかもな」




白と黒でそろえられた正装、息ぴったりのダンス、鮮やかに魅了するマジック。


演出も構成も凝っていて、見てて飽きない。