絶対領域






「姉ちゃん?ぼうっとして、どうした?」


「へ?……あ、いや、な、なんでもないよ」



訝しそうに顔を覗きこまれて、慌ててはぐらかす。



指摘されるほど、オリのこと考えすぎてたのかな?


追及されたくないし、別の話題を振ろう!




「そ、そういえば、ゆーちゃんのところはどうだった?」


「た、楽しかったですよ!」


「うんうん!それに、けっこう難しかった!紫なんか特に騙されてたよな」


「うっ……だ、だってぇ……」




頼りなげに目尻を下げるゆかりんに、みーくんは陽気な破顔を向けた。



騙されてた?

あれ?ゆーちゃんのクラスって、脱出ゲームだよね?



「どんな感じのゲームだったの?」


「お客さんが挑戦者となって、迷宮を脱出するっていうのが基本的な内容だよ~」



ゆかりんの肩の上から、ひょっこり顔を出して説明したのは、ゆーちゃんだった。


うわっ、びっくりした!

ゆーちゃんもいたんだね。



「ゆーちゃんも休憩?」


「そぉ!だから皆についてきたんだ~」



ゆーちゃんが、ゆかりんに飛びつくように抱き着く。


ゆかりんに怯える様子はなく、2人とも楽しそうだった。