絶対領域





さっきまであんなに自信がなかったのが、嘘みたいだ。


我ながら現金だなぁ。



皆が最初のお客様でよかったな。


気持ちが軽くなった。

私らしく頑張れそう。



皆がいてくれた助かったよ。





「……とは思ったけどさ」




あれから30分。


おかげさまで童話喫茶は大繁盛。

行列までできている。



だから、用が済んだら席を空けてほしいんだけど、双雷幹部メンバー+せーちゃんは童話喫茶を出て行く気配がない。


注文した物はとっくに食べ尽くし、飲み物も空っぽなのに、だ。




「あのお客様、申し訳ございませんが他のお客様が待っていますので、さっさと出て行け」


「さ、最後だけ命令……!」



ゆかりんを怖がらせたいわけじゃないの。

ただ邪魔なだけ。




「姉ちゃんの交代時間を待ってるんだよ。姉ちゃんと一緒に回りてぇし」


「……で、本音は?」


「姉ちゃんに近づく男どもを、片っ端から排除するため」


「やっぱりか……」




どうりで他の男性客がビクビクしてるのか。

うちの弟がすみません。



「そんな人いないからやめなさい。せーちゃんの悪い癖だよ?」


「でも……!」


「そんなことしてないで、他のところ回ってきなよ。私はあと1時間くらいしたら交代だから、それまでの間、ね?」



皆が私の知り合いだから、クラスメイトは遠慮していたようだったけど、きっと迷惑してる。


だから私が責任もって、注意しに来たんだ。