右腕を横に振り、片方の敵の頭を強く叩く。
当然、敵の頭も横によろめくが、そばにはもう一人の敵が持つ鉄パイプが。
ガン……!
「いっ……!!」
空虚な音が高らかに響いた。
鉄パイプで頭を打った敵は、もう一人の敵もろとも雪崩れていく。
巻き添えになった奴は、味方の重みに負け、顔面から地面に突っ込む破目になった。
あとは、2人……か。
残りの敵が、左右から挟み込んできた。
各々、鉄パイプとナイフを振りかざす。
さっきはナイフだったし、今度は鉄パイプにしよっと。
ナイフよりも長くて太い作りの鉄パイプが、上から下へ降ってきたが、難なくかわす。
ふわりと飛び跳ね、鉄パイプの先端につま先を乗っけた。
「えっ!?」
「う、嘘だろ!?」
私の超人芸に、敵は化け物でも見るかのように唖然とする。
私はバランスを維持しながら、右足を軸に体を回転させ、左足で敵の顔横を蹴る。
二度目の着地と共に、残りの敵も倒れた。
気づけば、随分と敵が減った。
主に私以外の4人が殺ってくれたおかげなんだけど。
リーダーらしき男の防壁も、とっくに崩れている。
だから、あっという間にたどり着けた。
リーダーらしき男とあず兄のいる、中央に。
「あず兄を、返して」
「これで終わりだと思うなよ!」
何その、典型的な悪役の捨て台詞。
そういうのいい。求めてない。



