絶対領域





弱り切った相手から武器を奪うのは、テストの問題を解くより簡単なことだ。


鉄パイプを高く上げたしん兄に、敵はみぞおちの痛みも忘れて、足をガクガク震わせた。



「ま、待て……頼む、待ってくれ……!」


「お前なんぞの頼みを聞いてやる義理はない」



冷たく言い放ち、問答無用で鉄パイプを素早く下ろす。



「う……うわあああっ!!!」




トン、と。

急速に減速した鉄パイプは、敵の額に優しく触れた。


同時に、鼓膜が破れそうだった叫喚が途切れ、敵は失神する。




「本気で当てるわけないだろう、腑抜けが」



しん兄は呆れた物言いで呟き、鉄パイプを敵の近くに投げ捨てた。





バンちゃんもしん兄も、調子がいい。


……いや、本気の2人に、ガラの悪い連中がついていけてないんだ。




それは2人に限った話ではない。


対極側にいるゆーちゃんとせーちゃんも、だ。



ゆーちゃんなんか特に、本気……というか、とにかくやりたいようにやっちゃってる。




「モエモエやユカたちを閉じ込めたり、アズをいじめたり……本当に何してくれちゃってんのぉ!?」



もうっ!、とゆーちゃんの両頬がぷっくり膨らむ。


その可愛らしい仕草には似合わず、眼力は凄まじい。