絶対領域





もう一回投げたら、3つ。


さらに投げたら、4つ。



「ど、どんどん増えて……っ」



あからさまに怖がる敵をよそに、バンちゃんのマジックは続く。



右手に2つ、左手に2つ。

でも、敵は5人。



「盗んだナイフが1つ、足りないな」



明日の文化祭で、バンちゃんのクラスが行うのは、マジック&ダンスショー。


……そう、これは“ショー”だ。




「あっ」


下を見るバンちゃんに誘導されるように、連中も自分の足元に視線を落とした。



「そこにあった」


「い、いつの間に……!」



もう1つのナイフは、敵の一人が履いているズボンの裾を貫いて、地面に突き刺さっていた。



まだショーは終わらない。


顔面蒼白になって怯える連中めがけて、4つのナイフを飛ばした。



「ひぃっ!」



他の4人のズボンの裾にも、ナイフは見事命中する。


すっかり戦意喪失し、腰が抜けた敵を、バンちゃんはしたり顔で見下ろした。




「どうだった?俺のショーは」



イッツショータイム!

マジックに種も仕掛けもありません。



注意を引き、あっと驚かせ、釘付けにする。


あらゆる意味で。