絶対領域





ぐったりとする連中に、バンちゃんは薄ら笑いを浮かべた。



「これなーんだ」



「……っ!?」

「な、なんで、お前がソレを……」



正面に提示された物に、敵は戸惑い、取り乱す。


なぜならソレは、今の今まで彼らが持っていた物だから。



「そういえば……ないっ、どこにもない!」


「いつ、盗まれた!?」


「あいつ、どうやってナイフを取ったんだ!?」



バンちゃんはソレ――折りたたみ式のナイフを掲げて、くるりと器用に一回転させた。


連中は全員ナイフを持っていないが、バンちゃんの手にあるナイフは1つのみ。




この矛盾を、敵は恐れた。




「実は明日、マジックしなきゃいけないんだ」


「は?ま、じっく……?」



唐突な話題に、敵は困惑してる。


バンちゃんの笑みがだんだん殺伐としていくにつれて、殺気も色濃くなっていった。



「だから、今、最終確認がてら練習しとこうと思って」



バンちゃんは、ナイフを持つ左手を上下に軽く振ってから、高く放り投げた。


落ちてきたソレを、華麗にキャッチ。



「え?」

「ナイフが、2つ……!?」


バンちゃんの手元に戻ってきたナイフは、なぜか2つに増えていた。