「チッ、遊んでるつもりか?あ?」
「余裕ぶってんじゃねぇぞ」
5人の敵に包囲されていながらも、バンちゃんは決して焦らない。
いや、焦る必要がない。
「え?何言ってんの?」
キョトンとした顔を、斜めに傾ける。
「『つもり』とか『ぶってる』んじゃなくて、本当にそうなんだけど?」
「はあ!?」
「なんだこいつ!ぶっ殺す!」
バンちゃんの挑発に、敵はまんまと乗ってしまう。
完全にバンちゃんのペースだ。
「全員で一斉にかかれ!」
素早くバンちゃんに詰め寄り、全員ナイフで攻撃する。
囲まれているため、バンちゃんの動けるスペースも小さく、逃げ場もない。
だが。
「くそ……っ!」
「なんで!……なんでこいつに、ナイフが刺さらねぇんだ!」
不利な状況のはずなのに、敵の攻撃はかすりもしない。
バンちゃんより敵のほうが先に息を切らし、愚痴をこぼすほどだ。
「そりゃ場数が違うからな。今までかいくぐってきた修羅場と比べたら、こんなの痴話喧嘩と変わんないって」
「意味わかんねぇことほざくな!!」
「……お、っと!」
バンちゃんに軽々とかわされたナイフは、空を裂くだけ。
その攻撃を最後に、敵の動きは止まった。
「あれ?もう終わり?早くない?」
小馬鹿にしても、5人の敵は肩で呼吸するので手一杯で、反応することさえできない。



