絶対領域





リーダーらしき男は味方を防壁代わりにし、真ん中で、未だにあず兄を弄んでいる。


意識のないあず兄は、抵抗できずにされるがまま。



「……最っ低」


反吐が出る。

絶対に、許さない。



皆も、リーダーらしき男の行動に目を瞠【ミハ】り、嫌悪感をむき出しにする。


鬱憤を晴らすみたいに、迫りくる連中をなぎ倒していった。




「せーちゃん」


「ん?」


「今回は、私を守らなくていいからね」


「わかってるよ。今の姉ちゃんを見て、止めようだなんて思わねぇ」




本当は嫌なはずなのに、物分かりいいフリをしてくれるんだね。ありがとう。


せーちゃん視点でも、私がご立腹してることが明々白々のようだ。




私は深呼吸をして、一歩前に踏み出た。

それを合図に、皆がバラバラに散っていく。



ガラの悪い連中の方向へ走っていく皆の背中には目もくれず、私は悠然と歩いていく。




そろそろ私たちも始めよう。


この戦いに、手加減はいらない。




本気で、ぶちのめす。




敵陣に乗り込む、たった一人の女の子。仲間は全員、各々で戦っていて、ボディーガードする様子はない。


その光景は、敵からしてみれば好機以外の何物でもない。



チャンスだと勘違いした敵が数人、鉄パイプを武器に接近してきた。