もちろん、しん兄とバンちゃんにだけ任せるわけではない。
私たちも、ヒントになりえるかもしれない思考を話し合う。
「あの横断歩道って繁華街も近いし、学生の通学路として多く使われてるし、普段は人の往来も盛んだよね」
「は、はい、そうです。な、なので、新人いびりしてきた人たちがあずきさんを連れて遠くに行くのは、あ、あまり考えにくいかと……」
「ということは、つまりぃ、横断歩道から近い場所が怪しいってこと~?」
「あずき兄さんもスタンガンで気絶させられたとしたら、あずき兄さんを抱えて遠くまで運ぶなんて不可能だしな」
「そっか~、人目もあるしねぇ」
「移動手段がバイクだと、もっと難しいだろうな。うるさいし、近所迷惑だし!」
「ち、近い距離となると……こ、この地図でいうと、ここのビルや学校でしょうか?」
「監禁してるとしたら、こういう倉庫や廃ビルが適してるんだろうけど……どうだろう。あー、頭ん中がぐちゃぐちゃだ!」
「あ、でも、西校は絶対無いよ。夜遅くまで校内に残って、文化祭の準備をしてる生徒が多いから」
さっき携帯で確認したら、時刻は午後8時半を過ぎていた。
雨は弱まるどころか、強くなっている。
群青の空を覆う厚い雲は、星のきらめきをも食べ尽くしてしまった。
「……わかった!」
その一言に、私たちは一斉に振り向いた。
すぐさましん兄に駆け寄る。
「おそらく、あずきはここにいる」
しん兄は、携帯の画面に映った地図を皆に見せて、ある場所を指で示した。
そこって……
「北校?」
みーくんとゆかりんの通ってる学校だよね?
「北校の、グラウンドだ」
「根拠は?」
「横断歩道から近く、文化祭前日の西校とは違って校内には生徒はいない。先生がいたとしても、この時間だ。人数は少ないだろうし、あの連中なら追い出すくらい簡単にできる。それにグラウンドなら、バイクが何台あろうが、連中が何人いようが関係ないからな」
なるほどね。
説得力がある。
バンちゃんが範囲を絞ってくれたとはいえ、考え始めてから10分も経っていないのに、よく突き止められたものだ。



