絶対領域




そ、そうだよね。

いくらしん兄でも、難しいよね。



……でも、ちょっとがっかり。


しん兄ならできそうな気がしたから。



だって、しん兄は、誰よりもあず兄のことをわかっているから。

私よりも、ずっと。




『無理?……違うだろ』



トーンの下がった低音に、肌がピリつく。



どうしてバンちゃんは、そんな刺々しく言うの?


まるで、責めてるみたいだ。



『自信がないだけだろ?』


「……っ」



否定、しないんだね。



しん兄の横顔が、ギシリ、軋めく。


今日の昼休みにも、見た。

歯がゆさを呪う、今の雨模様のような表情。



『あずきに何かあると、いつもそうだ。あずきが荒れてた頃だって……』


「っ、ああそうだ、自信がないんだ。“あの時”も、あずきを心配するばかりで、支えてやれなかった。一緒にいてやることしか、できなかった」



しん兄は耐えきれなくなって、苦痛をぶちまけた。




『俺の場合、追いかけたんじゃない。こいつの付き添いだ』


花火をした夜。

明かしてくれた、しん兄が不良になった理由を、思い出した。



ぶっきらぼうな仮面の下に、ずっと。


不器用な後悔を、隠していたの?




『……だから、あずきに「副総長をやってほしい」って頼まれても断ったのか?』


「え……!?」



バンちゃんの発言に、ざわつく。


どういうこと?