絶対領域





数秒の沈黙のあと。

静かな空気を、かすかなノイズが裂いた。



『……そっちに、あずき、来てない?』


「あずき兄さん?来てねぇけど……」



らしくなくためらうバンちゃんに、せーちゃんが不安げに答えた。



「アズがどうかしたのぉ?」


『さっき、下っ端から連絡をもらったんだ』



ドクン、ドクン、と忙しなく脈を打つ。


モヤモヤはしぼむどころか、膨れ上がっていった。




『萌奈ちゃんたちを捜索している途中で、あずきの携帯を拾った、って』


「携帯……?」


『しかも、その携帯の近くには血痕もあった、って』




え?

携帯?血痕?


どうして?



あず兄に何があったの?




――カシャンッ!



「っ、」

地面に何かが落ちた音で、我に返った。



「わ、悪い」



落ちたのは、しん兄の携帯だった。


しん兄も動揺しているんだ。



携帯を拾い上げた、無骨な手は小刻みに震えていた。