ゆーちゃんの顔がゆっくりと持ち上げられた。


目元は少し赤くなっていた。



「……僕も、ごめんね」


「え?」



ゆーちゃんはゆかりんを見据えて、口元をほろこばせる。



涙をこらえた、寂しそうな笑み。


強がっているのがバレバレだ。




「僕も、決めつけてた。ユカは僕が守ってあげなくちゃダメなんだって。……だけど、ユカはもう、僕の知ってるユカじゃなくなってたんだねぇ」



自分で自分を守ろうと、前を向いてる。

強くなろうとしてる。


そんなゆかりんに、ヒーローは必要ない。



今度は、ゆかりん自身が、ヒーローになる番だから。




「ねぇ、ユカ」

「ゆ、ユウ……」


ゆーちゃんにつられて、ゆかりんのダークブラウンの瞳も潤み出す。



「僕ももう自分のせいだなんて思わない。だからユカも、罪悪感なんて感じないで」



優しく、切なく。

囁いたなら、ようやく解放された。


2人を苦しめた鎖は、どこにもない。



ゆかりんは泣きそうになって、でもグッと引き締めて、深く頷いた。




すれ違うのは、やめにしよう。


本音を溜め込むのは、これで最後にしよう。



これからは、肩を並べて、歩いていけばいい。