「ゆかりんは、自分を束縛してまで守ろうとする、歪んだゆーちゃんが怖くなったの?」



萌奈さんの抑揚のない声色が、いやに心臓をえぐった。


衝動的に、勢いよく喉の奥を揺らす。



「ち、違います……っ!」



あっ、予想以上に大きな声で叫んじゃった!


ハッとして身を縮めながら、「す、すみません」と呟いた。



……違う。

違うんだ。


ユウを怖いと思ったことは、一度だってない。



「こ、怖いのは、ユウじゃなくて……ぼ、僕自身です」



ユウは会う度に、傷を増やして。


痛いはずなのに笑っていた。

大丈夫だよ、って。



だから、当たり前に思っていたんだ。


ユウはずっとそばにいてくれる。守ってくれる。



そう信じて疑わないで、すがりつく自分に気づいた瞬間、たまらなく怖く感じた。



自由を束縛しているのは、むしろ。

僕のほうだったんだ。



「ゆ、ユウに甘えて、迷惑かけているのに、そ、それを普通だと思い込んでいた自分がとても怖くて……は、恥ずかしくなったんです」



まるで、閉ざされた暗い領域は、僕専用の檻。


ユウはそのために用意された、生贄【イケニエ】のようで。



恐ろしかった。