絶対領域





……って、気にするところ違うでしょ自分!!


なに急に昔話を始めちゃってるの!?


皆たぶん、真剣なんじゃなくて、ポカンとしてるんだよ!




「ご、ご、ごめんなさい!いきなり語っちゃって!」



うわああ!恥ずかしすぎる!

穴があったら入りたい。


両腕両足が縛られていなかったら、スライディング土下座をしていた。



どうして、昔のことを話してしまったんだろう。


いじめられて引きこもっていた過去は、思い出したくもない黒歴史なのに、無意識に喋っていた。




……いや、もしかしたら、きっと。


誰かに聞いてほしかったのかもしれない。



「頑張ったね」「強くなったよ」と、嘘でも褒めてほしいんだ。




僕ってバカだな。

昔のことを話したら、もっと認めてくれなくなるに決まってるじゃんか。


こんな、情けない僕なんか……。





「謝るなよ。俺は、昔の紫を知れて、嬉しいよ?」


「み、翠くん……」



沈黙後の開口一番の一言に、慰められる。



逃げ続けていた僕のみっともない秘密を知っても、嗤【ワラ】わないでいてくれるんだね。


たとえ、僕を励ますための嘘だとしても、その優しさに救われる。




「それにしても、こんな偶然あるんだな!俺、びっくりした!」


「へ?」



大きな目をさらに大きくさせた翠くんが、やけに明るくはしゃいでいることが理解できなくて、つい硬直してしまう。


偶然?びっくり?

どういうこと?