絶対領域




ザーザー。

急に、倉庫の外側がけたたましくなった。


屋根を打つ雨粒が、しきりに倉庫を揺らしたがる。



外は、雨……か。


温度が一度、低くなった感覚に陥った。




「……ごめん」



雨音に混じって、沈んだ呟きが落とされた。


すぐそばで、翠くんが立てた膝に顔をうずめている。



「なんでみーくんが謝るの?」


「だって、俺が敵より先に、萌奈の友達のところに駆けつけてあげられなかったせいで、こんなことに……」


「それは違うよ」



萌奈さんはわざときつめに否定した。



翠くんがネガティブになるなんて、珍しい。


もしかして、ずっと後悔していたのかな。



「みーくんが悪いわけじゃない。あいつらが最低なだけだよ」



顔は笑ってるのに、目が笑ってない……!

こ、怖いです!!



漏れ出ていた殺気が、しゅるしゅると消えていった。


それと同時に、萌奈さんの様子も曇っていく。



「それに、あの子は友達じゃないし」


「え!?」



思わず声が出てしまった。



いや、だって。

予想外すぎて……。


友達じゃないって、本当に?信じられない。