絶対領域





び、びっくりした。


混乱と驚愕のおかげで、ぼんやりしていた意識は完全にはっきりした。




「翠くんもいたんだね」


「翠だけじゃねぇ。俺も姉ちゃんもいる」



あ、本当だ。


少し前のほうに、僕と翠くんと同様に、縛られた2人の姿もあった。

萌奈さんはまだ意識を失っているけれど。



皆、無事でよかった。




「こ、ここって、どこなんだろう」



冷えたコンクリート、隅に積み上げられた箱、捨て置きされた鉄パイプや縄。


窓は一つもなく、唯一の出入口は前方のシャッターのみ。



しかし、シャッターは閉め切られていて、外からの光が差されることはない。




「おそらく、西側の倉庫のどっか、だろうな」



世奈くんの考えに、翠くんも賛成する。



西側なら、倉庫がいくつも並んでいるから、どこの倉庫にいるかは判断しにくい。


それを踏まえた上で、ガラの悪い連中は僕たちをここに監禁したのだろうか。



では、なぜ。

僕たち4人を全員ここに閉じ込め、ガラの悪い連中は誰もいないの?



新人いびりの続きなら、一人一人別々の場所に幽閉するか、倉庫内に大勢の不良を配置させて監視やいじめを行うはずだ。


でも現実は、ここに僕たちだけを残して、放置している。



どういうことなんだろう。