絶対領域






ガンッ!

虚ろな音が、弾かれる。



3人の中で初めに仕掛けたのは、雷鳴を連想させる攻撃を得意とする、双雷の総長――みーくん。




敵が振りかざした鉄パイプを、俊敏に避けた。


鉄パイプを持っているほうの敵の手首を、左肘で突く。

休む暇を与えず、そのまま鉄パイプを蹴り上げた。



空高く飛ばされた、鉄パイプ。


敵の意識がソレに集中している間に、みーくんは小柄な体を活かし、敵の股下を滑るようにくぐった。



「鬼さん、こちら」


「なっ……!」



敵の襟を、グイッと後ろに引っ張って。

のけ反った背筋を元に戻すみたいに、渾身の力を込めた右拳を打ち付けた。




鉄パイプは、空中で弧を描いて、緩やかに落下していく。


先端が地面につくと同時に、みーくんが強めに踏んづけた。



ぐにゃり、曲がる。

不格好なブーメラン型になった。



ソレを、ガラの悪い連中に勢いよく投げつける。




「戦いは、まだ始まったばっかりだぜ?」



みーくんのターンは、終わらない。