絶対領域





信じよう。

3人のことを。



「わかった。この場は3人に任せる」



チカチカと、後方で信号が点滅する。


ここに来て何度目かの赤になり、横断歩道の通行は一時的に閉鎖される。




「でも、せめて自己防衛と、皆が危なくなった時の助太刀くらいはさせて」



敵が3人をかわして、私に手を出そうとしたら、私が返り討ちにする。


誰かがピンチになって、他の2人が手助けに行けなかったら、私が助けに行く。



この条件は、あくまで保険。

万が一の状況になった場合の対策は、あったほうがいいでしょ?




「も、萌奈さんらしい、ですね」


「助太刀って言葉、初めて聞いた。やっぱかっこいいな!」



左と右から、明るい一笑が響く。



「……頼ってんのか、頼ってねぇのか、わかんねぇよ」


「頼ってるよ。頼った上で、保険をかけてるの」



せーちゃんの顔が、ゆるくこちらに向けられた。



左側に重めに流している前髪を、風がふわり、撫でる。


隙間から覗いた眼は、仕方なさそうに伏せられていた。



「姉ちゃんの出番、ねぇかもよ」

「うん、そうなることを願ってる」



妥協してくれてありがとう。


3人を信じているから、私は私自身を奥の手として利用できる。