絶対領域






姉弟仲良く手を繋いで、たまり場へ歩いていく。


久し振りに2人きり、並んでたどる帰り道は、いつもより懐かしく感じた。




「寒いね」


「もう10月だからな」


「風邪引いちゃうかも」


「そしたら俺にうつせばいいよ」




他愛のない冗談に笑って。

私のよりはるかに大きな手を、握り返した。



手のサイズも、身長も、とうに追い越されてしまった。


いつの間にこんなに大きくなったんだろう。



私も、自分じゃ気づかないうちに変わっているのかな。





昔2人でよく遊んだ公園を通り過ぎた。


遠くに見える、繁華街のネオンに誘【イザナ】われていく。




「さっきまで文化祭の準備してたんだっけ?」


「そうだよ。大変だったんだから」



主に精神的に。

明日はもっと大変なんだろうな。



「大変ってどういう……ま、まさか、いじめ!?」


「違う違う。いじめられてない。ちゃんとクラスメイトと協力して文化祭の準備したよ」




「文化祭!?」



横断歩道の信号待ち。

突如、話を割り込まれた。


私たちの横で、同じく信号待ちをしている、学ラン姿の男の子2人。




「あ、みーくんとゆかりんだ」