絶対領域





表面上は平静を装っているが、内心は大絶叫。


衣装係の人たちの発表は、私には爆弾そのものだ。



オウサマ風に言えば「オーマイガー!」、ゆーちゃん風に言えば「ありえな~い」だ。



気心知れた仲だったら、私の希望も言えたんだけど、現実は残酷なことにそうではない。



コスプレに緊張がある分、せめて衣装は私が決めたかった……。


私に着てほしい衣装って、何?

何を着ることになるの?



……ダメだ、全然予想がつかない。




「……最後に、や、矢浦さん」



名前を呼ばれ、我に返る。

つい考えこんじゃってた。



私を呼んだのは、衣装係であり、昼休みに私と一番に目が合った女の子だった。



あっ、そうだ、昼休みに逃げちゃって気まずいままだったんだ。


こんな時に思い出してしまい、お互いにどこかぎこちない。



「あの、その……や、矢浦さんには、コレを着てもらいたいんだけど……ど、どうですか?」



おずおずと前に出された衣装に、ピシリと硬直してしまった。