絶対領域






「や、矢浦さん、かっこいい……!」


「見た?あのスマートさ」


「やべぇ……男の俺よりかっけぇ……」


「あれは惚れるわ」




クラスメイトの中で、私の好感度が爆上がりしているとは、マイナス思考な私には知る由もない。




……あれ?

なんか、さらにクラスメイトと距離離れてない?


気のせい……であってほしい。




「接客係、集合ー!」



すると、衣装係の人たちに呼びかけられた。


あ、行かなくちゃ。

重い足取りで、衣装係の人たちの近くに集まる。



「衣装ができたから、試着してほしいの」



ごくり、と生唾を飲み込む。


……ついにこの時が来てしまった。



衣装係の人たちの後ろには、私たち接客係の衣装が何着も用意されてあった。


どれもクオリティーが高く、メルヘンで可愛い。



私でも似合って、着こなせる衣装があるかな。




「着てほしい衣装は一人一人もう決まってるんだ」



な、なんだって……!?