絶対領域





……まあ、実際は中身もいいから、非の打ちどころがほとんどないんだけど。


短気なところと、過保護すぎるところを直したら、完璧かな。





「……あ、ねぇ、ちょっと」



ふと、4人のうちの一人と目が合った。


……ん?

目が、合った?



一人の小声に誘われ、4人全員がこちらを向いた。



あ。

しまった。


あまりに自然と会話を盗み聞きしていて、思わず無意識に女の子たちのほうを見てしまっていた。



私が視線を逸らすよりも先に、4人の女の子たちが一斉に顔を背けた。


うっ……。

地味にショック。



女の子たちは顔を近づけて、声を潜めながら話し合う。




「矢浦さん、こっち見てた……よね?」


「うん、見てた。ばっちり目が合っちゃった」


「花宮先輩のこと、勝手に話してたからじゃない?」


「性格最悪とか言っちゃったよぉ、どうしよ……」


「でも、例えじゃん!」


「性格最悪の部分だけ聞かれちゃったかもしれないじゃん!」


「怒ってるかな?……怒ってるよね」




あらぬ方向に誤解されてる気がする。